『競争と公平感』を読んで

『競争と公平感』著・大竹文雄 を読んだ。
経済学になじみのない方向けに最近の事象を絡めながら格差社会を考える本。
なので、経済について普通以上の知識がある人にはこの本を読むのもこのブログを読むのもおススメしない。

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)


一章:競争嫌いの日本人、二章:公平だと感じるのはどんな時ですか?
は、正直かなり退屈だったのだが、この本で一番読み応えがあると感じたのは、
三章:働きやすさを考える
だった。
以下、気になった点を僕の考えを交え、軽くまとめてみる。


【日本は有給休暇取得率がなぜ低い?】

日本の有給休暇取得率は低い。(50%前後推移)
しかし、ヨーロッパでは90%を超えているらしい。
その理由は、有給休暇の時期を指定する権利の有無にあったようだ。


ヨーロッパでは、強制的な休暇として割り当てられているので時期の指定は自分で行えない。
一方、時期が指定できる日本では病気などの不測の事態のために残しておく傾向があるという。


リスク選好性が低い日本人の性質がもろに出やすい仕組みになっているようだ。


最低賃金引き上げはどうなの?】

最低賃金引上げによって最も被害を受けるのは生産性が低い人のようだ。

昨年、民主党が1000円まで引き上げることを謳い、様々な議論が引き起こされたが、
最も多く出た意見は、
企業の雇用意欲が下がり、失業者が増える
であったと思う。


僕も例に漏れず、そう思っていた。


しかし、アメリカのある地域では、そうではない事例が起こったようだ。
90年代に最低賃金引き上げを行ったニュージャージー州のファーストフード店は雇用者が逆に増えたという。
ツッコミは沢山出来るが、この事例は、
特定の状況によって最低賃金を引き上げれば雇用を増加する可能性があることをを示した。

その状況とは、売り手市場の場合(求人倍率が高い場合)である。
簡単に言うと、NEETの方が「1000円なら働こうかな」って家から出てくるイメージ。


でも、まぁ実際にこのような状況って相対的に多くないと思うので、
もし1000円にならなければその分の付加価値を生み出せない生産性が低い人が労働市場から
淘汰されるわけですね。

だけど、こういうケースもあるってことが勉強になった。


【外国人受け入れしたら給料下がる?】

ここが一番面白かった。でもお腹がすいたのでもう無理。

結論としてはやはり、シンガポールのように生産性の高い人材だけを呼べたらいいねってこと。