『モジュール化の終焉』を読んで

『モジュール化の終焉』著・田中辰雄を読んだ。

モジュール化の終焉―統合への回帰

モジュール化の終焉―統合への回帰

本書の内容は、一言でいえば
情報通信産業において、オープンモジュール化が終焉し統合化へと向かっていく
という予想である。


モジュール化には、様々な定義があるが本書では、
オープンモジュール化(インターフェースが固定・公開されている)を意味している。
※モジュール:交換可能な構成部分、各要素


モジュール化の代表例として、PC、インターネットがある。
PCはハードウェア、OS、様々なアプリケーションから。
そして、インターネットはISP(インターネットサービスプロバイダ)や様々なネットワーク機器などで組み合わされている。


そして、統合化の代表例としてワープロ、携帯電話などがある。
携帯電話は、端末によって通信キャリアやインターフェースが固定されている。
そのため、設定もほとんどなく操作が簡単であり、セキュリティ面でも安定し、起動スピードなどが早い。


何故、モジュール化が統合化に向かっていくのかという仮説は、技術革新のサイクル説を有力視している。
マッキントッシュWindows95、ブラウザソフトのような突破型革新が続く時代は終わっており、
改良型革新の時代になると説いている。


その流れを示す例としては、
iPhone(PCの一部を統合化)クラウドコンピューティング(企業がサーバ、データ、アプリ、OS等を一括して提供)などを示している。


そして、立ち上げにかかる時間やソフトの豊富さなどの効用を定量化して分析した結果をふまえて、
統合型PCの可能性を示唆している。大きな携帯電話のようなイメージ。
現在のPCに比べて、自由度は減るが、安定性、セキュリティ、使いやすさが上昇し、大衆層が主な顧客となる。




iPhoneなどのスマートフォンは逆にモジュール化だと僕は考えているので「?」だったが、
自分なりに納得できる部分は多くあった。


これらの仮説を支えるのは、ITリテラシーが高くないけれど利用する人々が増加していることであると思う。

僕がイメージするのは、SNSYouTubeGoogleぐらいしか使わない人。それに加えて、オフィスソフトを使う人。

"一般的"な大衆が使うのは、ほとんどこれくらいの機能だと思う。


世界的な高齢社会の流れも受け、
携帯電話の「らくらくホン」のような機能が限定化されたPCが出ればそこそこ売れるような気がする。