中国は、いつ世界の市場になるのか

高い成長率を維持し、大きな市場と見なされている中国は世界における経済の牽引役
の役割を期待されている。


しかし、我々の想像以上に中国は市場としての役割を果たしていない、という
記事を英エコノミスト誌で読んだ。

The indispensable economy?
http://www.economist.com/node/17363625

輸出比率で見ると中国は大きな割合を占めるが、図で示すとおりGDP比率で見るとそう大きな数字とは思えない。



東アジア(とりわけ韓国、台湾)の国々はGDP比率でも大きく依存しているが、中国からの輸入も多いために
実質的なGDPへの増加にはあまりつながっていない。
それは、中国がそれらの国から輸入するのは主に半導体やハードディスクのような部品であり、製造した最終製品は
他国へ輸出されるからである。
GDPの要素として、輸出−輸入のため


だが周知の通り、中国は現在、世界の工場から世界の市場へと変わろうとしている。
中国政府が「13億人を食わせることで世界に貢献している」と言ったようだが、本当に貢献していくのは
これからではないか。


この中国の市場拡大がどれだけのスピードで行われていくかが各国がどれだけ中国依存を高めていくかの指標になるかと
思う。


それを予測するには、中国政府の政策動向に注目する必要がある。


沿海地域のお金がある層には、耐久財はほぼ行き渡っておりハイエンド商品などしかもはや売れないことを考えると、
マジョリティを占める内陸地域で消費が進まないと中国が大きな市場になることは考えにくい。

そのため、内陸地域の内需がどれだけ拡大するかが焦点となると感じる。


2012年には、胡錦濤総書記に変わり、習近平がそのポストに就くことがほぼ確実であることが先日、発表された。
総書記は二期務めることが多いようなので、習近平の任期は2012年から2022年までと長期である。


習近平は、過去に上海市党委書記を努めており、沿海地域の経済を重視する志向であると考えられている。
内陸地域の消費促進政策に力を入れていた、胡錦濤路線とは方向性が異なることが予想される。


つまり中国の市場拡大が進まず、輸出による自国のGDP押し上げ効果が期待できないリスクがある。


ポスト胡錦濤がほぼ確定した今、
各国は中長期的な中国の方向性を予測し、”中国とどれくらい付き合っていくか”を決めることが求められるだろう。